「不要になった礼装の着物、買い取りしてもらいたいんだけど」
この場合、買い取られる金額は5000円かもしれませんし、50万円かもしれません。
なぜかというと、礼装には様々な種類があるからです。
和服の世界ではこの違いを「格」という評価で分けています。
礼装というと、喪服だけをイメージしがちですが、その違いを紹介しつつ、価格の相場についても紹介します。
礼服が高値で買い取りしてもらえるかは種類で決まる
喪服だけが礼服ではないということをご存じですか?
レディースフォーマルやスーツに慣れ親しんでいると「礼服=喪服としてもつかえるスーツ」という考え方に陥りがちです。
正確には洋服の正装にも「アフタヌーン・ドレス」という正礼装(フォーマル)やアンサンブルのような準礼装(セミフォーマル)があるように、和装の場合にも違いがあります。
日本語の表現で「格が違う」という言葉がありますが、この「格」が高いほどフォーマルな服装ということになります。
着物は格が高いほど儀式的な礼装になる
・正礼装(既婚女性の場合) 黒留袖、色留袖
・正礼装(未婚女性の場合) 大振袖、中振袖
・準礼装 色無地紋付、訪問着
・略礼装 付け下げ、色無地、小紋(華やかなもの)
・正礼装(既婚女性の場合) 黒留袖、色留袖
・正礼装(未婚女性の場合) 大振袖、中振袖
・準礼装 色無地紋付、訪問着
・略礼装 付け下げ、色無地、小紋(華やかなもの)
黒留袖のような格が高い礼装であれば、高く買い取ってもらえそうですよね。
実際に査定価格が高い礼服と安い礼服の違いについて見ていきましょう。
高値の査定価格がつきやすい礼服
買取価格が高値になりやすい着物と格が高い礼装は必ずしもイコールではありません。
たとえば、黒留袖や大振袖のような高級な生地であれば買取価格が高くつきやすいと思うかもしれません。ですが、実際のところは着物の作者や保存状態で買取価格が決まります。
なぜかというと、家紋がついていることが多いからです。
家紋は家庭独自の柄なので、着物自体が高級であっても、中古品として流通しづらいという特徴があります。
そのため、かなり高級な黒留袖であれば話は違いますが、そこまで高い値段ではない生地でつくられた黒留袖に値段がつかないというのは仕方がありません。
黒留袖のなかでも本加賀友禅作家の押田正義の黒留袖は90万円の買取価格がつけられることもあります。本加賀友禅は伝統工芸品なので有名作家でなくても5万円以上の値段がつく場合が多いです。
同じく加賀友禅の黒留袖を東藤岳がつくったものであれば80万円以上の値段がつけられることもあります。
既婚女性の礼装は黒留袖だけでなく、色留袖もあります。色留袖で有名な蒋雪英作という中国の作家がいますが、彼がつくったものであれば70万円以上の値段がつくこともあるんですよ。
合田峰太郎も有名な作家ですが、彼のつくった色留袖は8万円ほどで買い取られることもあります。
高い値段で買い取りしてもらいやすい礼装
・有名作家がつくった黒留袖が50万円になることも
・有名作家がつくった色留袖が5万円になることも
・保存状態が一越縮緬の黒留袖
・有名作家がつくった黒留袖が50万円になることも
・有名作家がつくった色留袖が5万円になることも
・保存状態が一越縮緬の黒留袖
高い値段で買い取ってもらうためには保存状態が大切です。
第一礼装の場合は頻繁に袖を通すことはないはずなので、着用による痛みは出づらいですよね。真綿(絹)でつくられていることがほとんどですから、虫食いは定期的に虫干しすることで防げます。
注意しておきたいことは「においがつかないこと」「汚れをつけないこと」です。
たんすに保存しておくときに着物専用のナフタリンを入れることが多いと思いますが、においがついてしまうと着物の価値が下がります。理想としては定期的に虫干しをしてにおいがつかないような状態で保存しておくと高値になりやすいですよ。
「家で見たときは気づかなかったけど、買取査定の途中でシミがついていることに気づいた」という方も多いです。
着物専門クリーニング店は減ってきていますが、定期的に清潔感を出すためにプロに依頼すると売るときにも安心して手放せます。
査定価格が安くなりがちな礼服
高級な礼服であれば50万円、高ければ100万円近く値段がつくこともあります。
ですが、安い値段しかつけてもらえない礼服もあるんです。
なぜかというと、礼服のほとんどは家紋入りなんですよ。
既婚女性の正礼装に黒留袖がありますが、五つ紋または三つ紋になっていることが一般的です。
手元に黒留袖があって、買い取ってもらおうか迷っている場合は確認してみてください。ほぼ間違いなく家紋が入っているはずです。
家紋が入っていると買い手がつきづらいので、家紋入れ替えをすることもできます。
1カ所につき5000円ほど費用がかかります。五つ紋の場合は2万円以上が家紋を入れ替えるだけでかかるということですね。
それなので、本加賀友禅作家のつくった黒留袖のように着物自体の価値が高額でなければ、買取価格はつかないこともあります。
訪問着のような準礼装の場合でも共通して言えますが、シミや汚れがついていると着物としての価値は下がるため、買い取られる価格は低くなります。
査定金額が低くなりやすい礼装
・家紋が入っている
・有名作家や伝統工芸品としての価値がない
・汚れがついてしまっている
・家紋が入っている
・有名作家や伝統工芸品としての価値がない
・汚れがついてしまっている
喪服は反物で売ると値段がつきやすい
「たんすの中で喪服が眠っているんだけど売れないかしら……」
喪服は利用する場面がとても限定的です。
よくある間違いに「黒留袖なら結婚式にも葬式にもつかえる」というものがあります。
結婚式に着る黒留袖は柄がついているので、とても華やかです。
一方で、葬式では色無地を着ます。どちらも黒が基調となっており、家紋が入っているだけのデザインですが、柄に大きな違いがあるので注意しましょう。
最近は喪服をレンタルで貸してくれる葬儀場もあります。レンタルで済ませる程度の使用頻度ですから、無理に高い値段で購入する必要もないというのが一般的な感覚になってきているようです。
実際、着物を販売している呉服店の店主も「最近は黒留袖なんて、なかなか買う人いないねぇ」と言っていました。
新品で買う人が減っているということは、中古で買う人も少なくなってきているということです。
黒留袖につかえる生地を反物の状態でもっているのであれば、買取金額はよくなります。
着る機会が少ないうえに、サイズの調整もしなくてはいけないとなると、中古市場でも買い手がつきづらくなります。
反物であれば、買い手の背丈にあわせて仕立てることができますから、その分の費用をおさえられます。
喪服用の反物なら査定価格もつけてもらいやすいので、利用する機会がないのであれば、買取査定に出してしまった方がよいでしょう。
喪服は中古市場で買い手がつきづらい
・使用する頻度がそこまで高くない
・レンタルの影響で黒留袖を買う人が少ない
・反物であれば買い手がつきやすい
・使用する頻度がそこまで高くない
・レンタルの影響で黒留袖を買う人が少ない
・反物であれば買い手がつきやすい
まとめ
礼服にはいくつかの種類があります。
喪服としてつかえわれることが多いのが、色無地の着物ですが最近はレンタルの影響で市場に出回る数が減ってきています。
着物として仕立てた状態だと買い手がみつかりづらいので、反物の状態でもっている場合は査定金額が高くなりやすいです。
第一礼装として知られる黒留袖のなかには100万円以上の査定金額がつく場合もあります。
不要になった黒留袖が高級品の可能性もありますから、プロの鑑定士に依頼して価値を確かめてみましょう。
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